JR小松駅周辺のビル開発に伴う発掘調査で、弥生時代で最も古い石の指輪が出土した。小松市が7月8日、発表した。
JR小松駅の東側一帯に広がる「八日市地方(じかた)遺跡」は、水堀を巡らせた弥生時代中期の大規模な環濠集落。土器やヒスイの勾玉(まがたま)など数十万点もの出土品があり、1020点が国重要文化財に指定されている。小松市埋蔵文化財センターでは、今年3月2日から駅前の2200平方メートルのエリアの発掘調査を行っていた。
6月21日に、堀の中層部分で見つかった指輪は半分に欠損していたが、鑑定の結果、小松で豊富に産出していた緑色凝灰岩でできた指輪だと判明。弥生時代の石の指輪の出土は全国で11例あるが、今回発掘されたものは紀元前250年前後と最も古い。大きさは外径23.2ミリ、内径16ミリで、現在の指輪の号数で10号に相当するという。上部に開けられた穴は、欠損後にペンダントとして使用したか、指輪として補修したと推測しており、大切に使われていた様子がうかがえる。
同センターによると「当時は鉄が普及しておらず、石の工具でも加工しやすく緑色が美しい小松産の石が珍重されていた。勾玉や管玉だけではなく、高度な技術で石の指輪までも作っていたことがわかり、日本遺産にも認定されている小松の石文化をさらに盛り上げる発見」として、これまでの出土品の解明にも期待を寄せる。
小松市では7月10日に現地説明会を開き、発見された指輪と発掘現場を市民に公開する。時間は午前9時30分、午前11時の2回。
発掘を監督する横幕真さんは「全国的にも例の少ない石の指輪、しかも弥生時代最古のものが小松で発見され驚いた。今も発掘を続けているこの場所で市民の皆さんに見ていただき、ロマンを感じてもらえたらうれしい」と来場を呼び掛ける。発掘調査は今月末まで行われる。