北陸工芸の祭典「GO FOR KOGEI 2022」が9月17日、那谷寺(小松市那谷町)など北陸3県の寺社仏閣3会場で始まった。
重要文化財の書院で展示されている入沢拓さんのインスタレーション作品
今年3回目となる同イベント。今回も工芸を軸としながら、現代アートやデザインなどの領域にも重なる「手仕事」を紹介。ジャンルにとらわれず「つくる」という幅広い視点で、合計20人の作家の作品を展示している。
那谷寺では、陶芸や漆芸、金工など6人の作家が参加。特別拝観エリアにある「書院」と「琉美園」に加え、今年は境内のあちこちに作品を配置し、散策しながら鑑賞できるようにした。
本殿の近くにある「相撲部屋」と呼ばれる建物には、滋賀県在住の作家、井上唯さんの「白山」をテーマにしたインスタレーションを展示。その土地の歴史や文化、人の営みに着目する井上さんは4月から何度も小松を訪れ準備してきた。地元の織物会社から製造過程で廃材として出る糸を譲り受け、素材として利用。細い化繊の質感を生かし、白山から地中に染み込む雪解け水をイメージして制作したという。一方、張りのあるワイヤで、雨水が川となって四方に広がっていく様子を表現。白山のスケールの大きさを感じられるようにした。
井上さんは「白山を拝むための遥拝所が各地にあるように、この作品も境内を散策しながらいろいろな場所から眺められるようにした。たくさんの生き物が共存する境内で、気持ちいい時間を過ごしてもらえたら」と話す。
開場時間は9時15分~16時。入場料は、那谷寺のみ=1,200円、共通パスポート=2,000円。10月23日まで。