小松で「日本うんこ文化学会」の設立総会が11月6日・7日の2日間、サイエンスヒルズこまつ(小松市こまつの杜)で開かれた。
代表理事の榊原千秋さんは、保健師・助産師・看護師として快適な排せつを目指す「コンチネンスケア」に長年携わってきた。2015(平成27)年、小松にコミュニティースペース「ややのいえ」(末広町)を開設し、排便をはじめ健康や介護、医療など気軽に相談ができる「地域の保健室」として活動。コンチネンスケア先進都市として排せつの問題を地域包括ケアに取り入れる小松市と協力して、医療者や介護者などに向け「POO(プー)マスター」という排便ケアの専門家を育成している。
榊原さんは、人が生命をつなぐために不可欠な「排便」を「うんこ文化」として捉え、誰もが気持ちよく排便するためのケアなど、医師などの専門家や介護者、当事者だけでなく、一般の人たちも含め正しい情報を広く共有できる場を作りたいと今年7月、学会を設立した。
初めての学術集会では、大学生のときに潰瘍性大腸炎を患ったという文学紹介者の頭木弘樹さんとオンラインで対談。小さな失敗が心に大きな傷を残し、個人の尊厳や生活の幸福度にも深く関わる「うんこ」について、自然な形でオープンに話せる社会を目指すことの重要性について議論した。そのほか、住環境や下水道などのインフラ、ゲームアプリなどを通じた啓発活動など、あらゆる視点から「うんこ文化」について学術発表が行われた。
学会設立を記念して、詩人の谷川俊太郎さんと覚和歌子さん、音楽家の谷川賢作さんが作ったテーマソング「連なるもの」と「いないと寂しい」を披露。便の様子を毎回見ることや、生活習慣で快便になることなどを楽しく元気な歌にした。覚さんとステージに立った榊原さんらメンバーは「うんこシスターズ」として排便の知識を正しく伝え、歌を通して「うんこ」という言葉が自然に口に出せるよう活動していくという。