小松の宮本三郎美術館(小松市小馬出町)で9月25日、「第6回宮本三郎記念デッサン大賞展」が始まった。
若手芸術家への特別賞を受賞した、林建杜さんの「くらくなるまで」
同コンクールは、優れた素描家として知られる画家、宮本三郎にちなみ、「デッサン」をテーマに隔年で開催してきた。学芸員の大橋由美子さんによると、画材も表現も自由で比較的描きやすい大きさのため、アマチュアも参加しやすく、地方美術館内の公募展としては国内有数の規模だという。6回目となる今年は「明日の表現を拓(ひら)く」をサブタイトルとし、10~80代から個性豊かな944点の作品が集まった。
同展では受賞作品56点を展示。鉛筆や木炭を使って描かれた作品のほか、切り絵などによる作品もあり、従来の「デッサン」にとらわれない幅広い視点で制作された作品が並ぶ。作者によるコメントを添えているのも特徴で、どのような思いを込めたのか言葉でも表現することで、近年アートの世界でも求められる「プレゼン力」を高めてもらう狙いがあるという。
大賞に選ばれた吉成文男さんの「パラダイス21A」は鉛筆画の作品で、濃淡を使い分ける技術力の高さや、描かれた独創的な形への評価が決め手となった。今年はコロナ禍における支援として、若手作家への特別賞「美しき未来に向けて」を設け、5人が受賞した。
大橋さんは「審査員の先生も驚くほど自由で多彩な作品が集まっている。デッサンの最先端ともいえる表現の世界を楽しんでいただきたい」と来場を呼び掛ける。
開館時間は9時~17時。入館料は一般300円、高校生以下無料。11月3日まで。11月23日からは世田谷美術館(東京都世田谷区)に巡回する。