日本画のコレクションで知られる小松市立本陣記念美術館(小松市丸の内公園町)で現在、企画展「美の力」が開催されている。
銀行家として成功を収めた本陣甚一が40年かけて集めた絵画や工芸品などを、出身地小松市に寄贈したことから、1990(平成2)年に開館。亡くなった後も遺族からの寄贈があり、現在の収蔵品数は1007点。日本画を中心に、季節ごとに内容を変えて展示している。
円筒形のユニークな形の建物は黒川紀章の設計で、小松城の跡地に建設されたことから、堀に囲まれた蔵をイメージしているという。床にはコンクリートやタイル、大理石など異素材を並べて使ったり、ひし形やハート形などさまざまな形の窓を配置したりするなどして、建物全体が楽しめる空間になっている。
同展では、コレクターになるきっかけとなった日本画、前田青邨の「紅白梅」を展示。初めて購入した作品が家族に喜んでもらえたというエピソードも紹介。自宅に飾るために購入したというコレクションの中から、油彩画や古九谷、加賀蒔絵(まきえ)に至るまで名品50点ほどを並べる。
学芸員の藤田京子さんは「世によく知られた名品を味わうとともに、自分の心に響く作品を見つけてもらえれば。至福に満ちたひとときを過ごしてほしい」と話す。
開館時間は9時~17時。月曜、祝日の翌日休館。入館料は300円、高校生以下無料。9月20日まで。