暮らす・働く 学ぶ・知る

小松で「お旅まつり」 コロナ禍乗り越え3年ぶり曳山子供歌舞伎

曳山曳揃(そろ)えで上演された八日市町の「絵本太功記十段目 尼ヶ崎閑居の場」

曳山曳揃(そろ)えで上演された八日市町の「絵本太功記十段目 尼ヶ崎閑居の場」

  • 12

  •  

 江戸時代初期から続く小松の「お旅まつり」が5月14日~16日に行われ、豪華絢爛(けんらん)な曳山(ひきやま)の上で子どもたちが歌舞伎を熱演した。

光秀を演じる小学5年の永井杏奈さん

[広告]

 莵橋(うはし)神社(小松市浜田町)と本折日吉神社(本折町)の春季祭礼である「お旅まつり」。初めはみこしと獅子のみの巡行だったが、250年ほど前に祭りを盛り上げようと曳山が導入され、「曳山子供歌舞伎」が始まったという。町ごとに造られた曳山は、九谷焼の陶板や螺鈿(らでん)細工、彫刻などで豪華絢爛に彩られており、現在は8基が残る。毎年2町が当番町となり、それぞれの曳山の上で歌舞伎を披露。コロナ禍により3年ぶりの開催となった今年は八日市町と寺町が担当し、1時間ほどの演目を、3日間で各9回上演した。

 1990(平成2)年に始まった「曳山曳揃(そろ)え」は1日だけ各町の曳山が一堂にそろい、新たな見せ場となっている。祭りのクライマックスである夜には、「こまつ曳山交流館みよっさ」(八日市町)前に集まった5基の曳山がライトアップされ、その中で演じる幻想的な子ども歌舞伎を見ようと訪れる多くの人でにぎわった。

 音響や照明設備など上演にかかる費用は、当番町の世話人が市内の企業や商店を一軒ずつ回って集めているが、今年、八日市町ではクラウドファンディングで広く協力を呼びかけることにした。リターンには、商店街の振興を図りたいと、和菓子やジャム、米、スツールや風呂敷など、地元で販売する商品をセレクト。上演ごとにスポンサーを募り、上演時に社名を掲げ、口上でも読み上げるリターンなども提示したところ、目標金額の100万円を大きく上回る150万円が集まった。世話人代表の鵜川瞬也さんは「支援した会社からも好評だった。今後もこのようなスタイルでの提供をお願いできれば」と期待する。これまで、その町の住人にしか認められなかった役割を町外に募り、公立小松大学の学生にも若衆として参加してもらうなどの試みも始めた。

 鵜川さんは「多くの温かいコメントが寄せられ、胸が熱くなった。曳山子供歌舞伎の歴史を未来につないでいくために、伝統を重んじながらも新しい方法を模索していきたい」と意欲を見せる。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース