加賀市はメキシコ大使館(東京都千代田区)と、文化、観光、技術、教育、スポーツなどさまざまな分野で双方向のPR事業を始め、3月26日、ホテルアローレ(加賀市柴山町)で記者会見を開いた。
観光交流課専門員の志田朝美さんが以前メキシコ観光局に勤務していたことが縁で、今回の連携に至ったといい、加賀市によると「大使館が特定の自治体と共同で事業を行うことはまれ」だという。
これから長期的に多様な分野で連携し、互いのブランド力を高めるのが狙い。まずは観光分野での事業として「食」でスタートした。メキシコ大使館のシェフ、ヘルマン・オリーバ・カンポスさんは何度も加賀市に通い、地元の食材を使ったメキシコ料理に挑戦。前菜やメインディッシュ、デザートやドリンクなど8品を披露。「セビチェ」というマリネは、橋立漁港の新鮮な魚介類をふんだんに使い、野菜や香草などライムでさっぱりとあえたもの。そのほか、アボカドとみそのスープやノドクロのタコスなど、全ての料理に加賀の食材を組み合わせ、アレンジを加えたメニューを紹介した。
今回開発したメニューは5月頃から、レストラン「ブーケ」(加賀市百々町)のディナータイムに曜日限定で提供する予定。いずれは宿泊施設や飲食店など、市内のあちこちでメキシコ料理が食べられるよう、季節ごとのメニューを考案するなど継続的な提供を目指す。
メルバ・プーリア駐日メキシコ大使は「プライベートで訪れた際、加賀の温かい人柄や美しい自然に感銘を受けた。食だけでなく、山中塗や九谷焼などの工芸もレベルが高く、分かち合うことのできる多くのテーマがある。刷新的な考え方で連携を進め、友好関係がさらに深まれば」と期待を寄せる。
加賀市では、メキシコの建築家ルイス・バラガンをテーマに、市内の建築物とコラボレーションするなど、今後メキシコをテーマにさまざまな企画を実施していく。