伝統工芸「九谷焼」と円谷プロダクション(東京都渋谷区)がコラボレーションした「九谷焼ウルトラマンシリーズ」の10周年を記念した展覧会が1月8日、能美市九谷焼美術館の五彩館(能美市泉台町)で始まった。
能美市では、ウルトラマンの脚本を手掛けた佐々木守さんが能美市出身だったことから、2011(平成23)年に同社の公認を受け、白い素地でできたウルトラマンやバルタン星人などに色絵を施す「絵付け体験」をスタート(体験料・絵具代=1,500円~)。これまでに廃番になったものも含めると、20種類以上のキャラクターが発表されてきた。九谷陶芸村にあるショッピングモールでは、個性豊かな色絵作品も販売する。
10周年を記念し、昨年4月に「ウルトラマンタロウ」など3体が新たに加わった。九谷焼作家による絵付けが施され、能美ふるさとミュージアムでお披露目されることになっていたが、コロナ禍により1週間で中止。延期という形で、今回会場を変えて展示することになった。
赤絵細描で知られる福島武山さんによる「ウルトラマンタロウ」、自然本来の色合いにこだわる山田義明さんの「ウルトラマンティガ」、白地に鮮やかな目が印象的な武腰潤さんの「ウルトラマンゼロ」と、それぞれの作家の特徴が反映された個性的な作品に仕上がっている。今回、能美市10周年の際に制作された陶板も併せて紹介し、作家の作風と照らし合わせながら鑑賞することができるほか、20~80代の幅広い世代の作家の作品を紹介することで、九谷焼の多様性を感じられる展示となっている。
学芸員の宮山千咲さんは「同じモチーフでも表現が全く異なり、それぞれ独自の技法が盛り込まれ、とても見応えのある作品に仕上がっている。小さな作品なので、ぜひ間近で見て楽しんでいただれば」と来場を呼び掛ける。
開館時間は9時~17時(最終日は12時まで)。月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。入館料は、一般=430円、75歳以上=320円、高校生以下無料。3月18日まで。