九谷焼の新しい技術開発に取り組むミランティジャパン(加賀市打越町、TEL 0761-75-7151)が7月、吸水性能を生かした「マスクスタンド」の販売を始めた。
同社は2004(平成16)年に電気機械などを製造する会社として創業。彫刻技術を応用して九谷焼の表札作りや名入れを行う中、九谷焼業界を発展させたいと、開発から製造、販売に至るまで一環生産する「九谷結窯」を立ち上げた。伝統技術を継承しながらも他産業から参入した強みを生かし、3Dプリンターによる成型やスクリーン印刷など新しい技術を取り入れ商品開発を行ってきたという。
新素材の研究にも取り組み、吸水する陶磁器「Spiro(スピーロ)」を石川県工業試験場の九谷焼技術センターと共同開発。地元の鉱石を使い、配合と焼き方の試験を何度も重ね、3年をかけて完成した。社長の二山冨士夫さんによると「ケイ藻土より吸収スピードが早く、発散する機能も持ち合わせているため、素焼き部分にアロマオイルを垂らすことで、香りを楽しむ使い方もできる」という。
高温で焼成しているため素材中の微生物は死滅しており、漂白剤による洗浄や煮沸殺菌も可能なことから、衛生的に使えるマスクスタンドを考案。柄は、伝統的な九谷焼の文様を現代風にアレンジした「麗和シリーズ」(4,950円)、九谷五彩の「色釉(ゆう)シリーズ」(3,850円)の10種類から選べるようにした。商品はオンラインで販売する。
二山さんは「自宅での来客時など『ちょっと使い』の後に掛けておくことでマスクの湿気が素早く取れるので、普段の暮らしに活用してもらいたい。この商品を通して、九谷焼の魅力を多くの人に知ってもらえれば」と話す。