那谷寺(小松市那谷町)で祈とうしたおみくじを入れた「おみくじ煎餅」が12月1日、小松市内で発売された。
長池彩華堂(小松市今江町7)が製造するみそ味の煎餅は、小松の「加賀みそ」を使い、小麦粉、卵、砂糖だけで作った素朴な味わいが特徴。おみくじを焼きたての煎餅で包む工程は全て手作業で、社長の長池正さんによると「製造に通常の4倍の労力がかかるが、空洞部分を作るため柔らかく仕上がり、同じ生地のみそ煎餅でも味わいが異なる」という。
石川県では正月に、小さなおみくじを包んだ餅菓子「辻占(つじうら)」で言葉遊びを楽しむ風習があり、食品卸会社「カナカン」(金沢市袋町)が辻占のような正月向けの新商品を作れないかと長池さんに相談。長池さんは周囲にもアイデアを求め、那谷寺の門前にある土産物店「花山亭」(小松市那谷町)の店主、谷出孝義さんが煎餅で作ったらどうかとアドバイスしたという。同店で11月に先行販売したところ、「売れ行きは順調で、若い世代からも好評。寺の門前という場所柄、占いに興味がある客が多いのでは」と谷出さんは分析する。
那谷寺ではコロナ禍により、休憩所を兼ねた普門閣や宝物館は今も閉鎖。同寺のみくじ箋から抜粋した言葉を入れたオリジナルのおみくじを、「おみくじ煎餅」として自宅で楽しみながら引いてもらうことで、年末年始の人混みを緩和する狙いがあるという。同煎餅は、花山亭のほか、那谷寺、長池彩華堂、道の駅や空の駅などでも販売する。
長池さんは「多くの人の知恵を結集してできた商品。おみくじは那谷寺で祈とうしており、正月の新しい楽しみ方として定着すればうれしい」と話す。9個入りで400円。